侵食されて狭くなったビーチに砂を補給
ハワイ州は、2012年3月上旬から4月下旬にかけて、250万ドルを費やしてワイキキビーチの拡張工事を行いました。
ワイキキビーチは、天然の砂浜ではなく人工的に作られたビーチなんですね。このたび、長年の浸食によって狭くなってきたビーチに砂の補給をして、砂浜の幅が約10メートル以上拡大されました。
最初は、ワイキキ沖の海底の砂を吸い上げ、その砂をパイプを使ってビーチに散布する予定でしたが、その方法がなかなかうまく行かなかったそうです。そのため、途中で予定を変更して、別の場所からダンプカーやブルドーザーなどで砂をワイキキビーチに運びこむことになりました。
ビーチの一部は閉鎖に
工事期間中はビーチの一部区間が閉鎖されて、沖合に砂を吸い上げるための大きな船が停泊していたり、重機が設置されたりして、あまりワイキキビーチらしくない景観でした。
工事のため、3月12日〜4月14日の午前7時から正午までは、ワイキキビーチの一部(デューク・カハナモク像〜ロイヤル・ハワイアン・ホテル間)が立ち入り禁止になったりもしました。
かつては湿地帯だったワイキキ
ホテルやショップが密集している世界屈指のリゾート地であるワイキキは、もともとは湿地帯で、砂浜はありませんでした。
上の写真は、19世紀に撮影されたワイキキです。現在ビーチが広がっている岸辺は、ゴツゴツとした平坦な岩場のように見えますね。
20世紀に入ると、海岸沿いにモアナホテル(現在のモアナ・サーフライダー・ウェスティン・リゾート&スパ)、ロイヤル・ハワイアンホテル、ハレクラニなどのホテルが次々に建ち、観光地化が始まります。
そして1920年代〜1930年代には、オアフ島のノースショア、カリフォルニアのマンハッタンビーチなどから白砂が運ばれ、現在のワイキキビーチの原型が作られました。
そんな人工ビーチですから、そのままにしておくと時とともに波によって侵食されて少しずつ砂浜が狭くなっていくんですね。つまり、ワイキキがリゾートビーチありきの観光地である限りは、定期的にこの大工事をやり続ける必要があるということになります。ハワイが世界に誇る、イメージ通りの“ワイキキビーチ”を保ちづつけるのも大変なんですね……。
とにかく、4月末にようやく工事が終わり、ビーチも広くなり、いつものリゾート地らしいワイキキビーチになりました!